要らない物を捨てて部屋の中を整える
30代前半頃、シンプルライフがちょっとしたブームになった時があった。
余計なモノは持たずに厳選したモノに囲まれて生活しよう、要らないモノを捨てて
心地良い生活をしよう、といった風潮である。
それまでの自分は汚部屋まではいかないが、ゴチャゴチャした部屋で気にも止めず
過ごしていた。それがある1冊の本を手にした途端に覚醒させられたのである。
大原照子さんの「少ないモノでゆたかに暮らす」という本に何となく目が行き
手に取ってみた。その時の衝撃は新鮮であった。
大原さんは40代でイギリスに語学留学へ。そして、現地で仲間たちと旅に出るため、不要なモノは持たない暮らしを体現した内容がある。本当に好きなモノに囲まれた生活は心地が良い。余計なモノがない部屋は風通しが良い。洗練されたスタイルにすごく憧れがあった。
今でいう、「断捨離」や「ミニマリスト」の先駆けである。
すっかり大原さんに刺激され、「少ないモノでゆたかに暮らす」の本を手にして
部屋中のモノをひっくり返して「要る」「要らない」を厳選してみた。
今でいう「こんまり」ではないが、まずは衣類を見直してみた。
すると1年以上は着ていない服が半分以上を占めていた。たんすの中はぐちゃぐちゃしており、ていねいな暮らしには程遠い状態である。服は沢山あったが、いつも着ていく服がなくて困っていた状態である。沢山の服の中から自分が着られそうな服がほとんど存在していなかったことが改めて判明したのである。
当時、部屋の中にはたんすが2個あった。そのタンス内に服が上手く収まらず、ギュウギュウ状態で詰め込んでいたので、存在を忘れていた服まで判明した!
結果、たんす2個が不要になった程、衣類を処分する結果となった。
状態が良いモノはyahooオークションで売り、売れなかったら近隣のリサイクルショップへ。それでも売れなかったらゴミ袋入り。勿体ないという気持ちは多少あった気もしたが、元々存在さえ忘れていたということは最初から「なかったモノ」として受け止めていいのだ、と割り切ることができた。
次に手を付けたのが「本」類。
学生の頃の自分は読書好きなため、そこそこ沢山の本たちが並んでいた。
中学生の頃は赤川次郎にハマっていて赤川さんの小説をコレクションしていた。
コレクションを眺めているだけでも気分が良くなったりして。
紡ぎたくの「ホットロード」は何十回と手にしたことか・・・。懐かしい!
けれど、30代の自分はすっかり本の存在自体を忘れていたのである。
読んでいない本は古本屋さんに売りに行った。売れない本は捨てた。スッキリした!
要らない服や本を処分しただけでも部屋の中の風通しが良くなった気がする。
この調子でどんどんモノを捨てることにハマっていったのである。
本当に必要なモノは実はそんなに多くはない。
あれから何十年と時が経ったが、少しのリバウンドはあれど、部屋の中がモノでゴチャゴチャすることはなく、片付いた部屋の状態をキープ出来ている。シンプルライフに出会ってよかった。
・・・が、暮らしのゆたかさは人それぞれ価値観があるので必ずしも縛られることはない。部屋は片付いていることは基本的なことではあるが、モノが多くても統一感があって整理整頓がきちんとされている状態であれば何も問題ではないであろう。
捨てる執念に縛られて一時期はストレスさえ感じていた時期も実はあり。
歳を重ねていけば価値観も変化していき、モノに対する気持ちも変わり、
今では捨てる勇気が薄らぎ、30代の頃の勢いはどこへやら(笑)
50手前の自分の中ではムダにモノは持たないが、無理にミニマリストになることもない。かわいい小物も生きる上で必要ではないが、彩りや癒しをもたらしてくれるモノ。
それでも油断するとモノは増えていくので何となく、どんよりした気分の時はモノを定期的に点検してみることにしている。部屋の中は心の中を映す鏡のようなものだから。